「ギャグ」と「シリアス」と「日常」の比率を考える

「ギャグ」と「シリアス」と「日常」の比率を考える

物語の要素として「ギャグ」と「シリアス」はどちらも重要なものです。
物語を作るのであれば笑わせる部分(ギャグ)と真面目な部分(シリアス)を考える事も多いでしょう。
今回は、そんなギャグ(+日常)とシリアスの物語における比率を考えてみたいと思います。

目次

  1. ギャグ100% シリアス0%   日常0%
  2. ギャグ  0% シリアス100% 日常0%
  3. ギャグ+日常 50% シリアス 50%
  4. ギャグ 20% シリアス 80%
  5. 日常100%
  6. まとめ

ギャグ100% シリアス0%

ギャグ100%で構成された物語。
これはもう、基本的には「何でもあり」な物語になります。

突然人が死んで生き帰ろうが、物理法則を無視しても、突発的に何かが起きても。
しかもそれが無かったことになっても。
ある意味物語における無法地帯がギャグ100%なのです。

ただし、私はこのギャグ100%の物語と言うのが「全物語中で最大の難易度」だと思っています。
もちろん、得手不得手にもよると思います。
しかし、物語において「笑い」程難しいものはありません。

「笑い」(ギャグ)の感性は人によって全く違います。
更に、同じネタばかりを繰り返しても飽きられてしまいます。

感性が違う上、新しい笑い・ギャグを次から次へと展開させていき、飽きさせないギャグ物語を作る。
これは相当な実力が無いと継続していくことが困難です。

私も「ギャグ100%」これは今の段階ではとても作れる気がしません。
挑戦する価値は十分にあります。
ギャグのネタが次から次へと浮かぶ人、笑いのツボがわかっている人。
これにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

ギャグ  0% シリアス100%

お次は「シリアス100%」の物語。
こちらの方がギャグに比べて、まだ作り易い構造となります。

ようするに「ストーリーモノの物語」ですね。
序盤から完結まで一切ギャグがなく、シリアスに進む物語の事です。

この物語の場合はギャグと違って、主人公の動機や巻き込まれる事件、葛藤等が重要になります。
上記の事柄を考えた上で、物語そのものの構造に関しては「基本構造」を生かす事も可能です。

ようするに「起承転結」であったり「クライマックスで一度主人公を絶望に突き落とし、復活」等の手法が使えるのです。
正直、ギャグ100%よりも、物語の基本構造を知り、考えるべき事を設定する。
そして、物語をつくることに慣れてくると、ある程度のものは作ることが出来るはずです。

ギャグ+日常 50% シリアス 50%

これは基本はギャグ半分(日常も含む)、シリアス半分といった物語構造。

完全にギャグかシリアスが100%よりは作り易い……と言いたいのですが、一つだけ注意点があります。
それは「ギャグなのかシリアスなのかわからない物語」これにならないように気をつける必要があります。

ギャグもシリアスも半分半分。
それは簡単そうに見えますが、その物語で描きたいものは何なのか?
見失ってしまうと、ギャグなのかシリアスなのかわからない中途半端なものになってしまう可能性もあるのです。

個人的な考えですが、このパターンは結構、作るのが難しいと思います。

ギャグ(+日常) 20% シリアス 80%

ギャグ+日常が20%で残り80%がシリアス。
個人的に一番お勧めする物語の形がこれになります。

もちろん、私自身がこれくらいの比率が好きというのも大きいのですが、それだけではありません。
まず、シリアスが基本なので、物語の構造をある程度知っている、学んだ方なら作り易いという事が言えます。

なので、シリアスな物語構造を基本にします。
そして残りの20%でキャラクターの日常を描いたり、ちょっとしたギャグを描くのです。

シリアス⇒日常⇒シリアス⇒ギャグ。
このように、シリアスの間に休憩が入ることにより、物語としてのメリハリもつけやすいのです。
例えば「起承転結」にする場合でも……

◆起
物語の始まりとなるシリアスな部分を描く。
例えば主人公の過酷な運命など。

◆承
シリアスな運命に立ち向かう為の主人公や仲間の成長を描く。
仲間との交流(日常)や、ちょっとしたギャグ(笑い)を通して、友情が深まっていく。
ちょっとした息抜き。

◆転
ここで再びシリアスに戻る。
例えば、仲間の一人が敵に殺される等。

◆結
シリアスが継続。
敵を倒して、世界(や主人公の過酷な運命)が平和になる、解決する。
そして、また再び日常が戻ってくる。

というような感じで、起承転結に入れた場合でもシリアスだけど、日常やギャグが間に入ることによりメリハリが付きます。
これがシリアス100%では、ずっと読者は落ち着く事ができません。
ギャグ100%では次から次へと笑いを引き起こす必要があります。

日常100%

「日常モノ」と言われるこの構造。
これは「キャラクターの魅力を生かす」これが出来るかどうか、にかかっているでしょう。

ギャグ100%にも言えるかもしれませんが、日常だけで飽きさせないという事。
これは相当大変です。

そのためにはキャラクターが魅力である必要があります。
逆に言うと、魅力的なキャラクターがいない場合、日常モノは面白くなりません。

もちろん、シリアスな物語でも魅力的なキャラクターは必要ですよ。
ただし、ちょっと魅力的でなかったとしても「物語の構造」や「展開」で補える部分も多いと言う事なのです。

日常100%はその手は通用しません。
いかに平凡な日常を楽しく描けるのか?

それはもう「このキャラクター達が楽しそうにしている日常を見たい」
これではないでしょうか?

なので、日常モノを作りたいのであれば徹底的に魅力的なキャラクターとは何か?を考えて、キャラクターを中心とした物語を作る事になります。
私個人の考えですが、日常100%もギャグ100%と同じくらい困難です。

ただし、完全に感性に左右されるギャグに比べるとまだ攻略の手段はあります。
それは何度も書いたように「魅力的なキャラクター」です。

どのようなキャラクターが人気なのか?
どの属性が人気なのか?
皆に愛されるキャラクターとは何か?

性格や容姿、設定など。
この辺りを世の中の流行を考えつつ、自分にとっての魅力的なキャラクターを考え、生み出す。
それが出来れば魅力的な日常100%の物語が出来るはずです!

まとめ。個人的「物語制作 難易度ランキング」

難しい← →簡単

ギャグ100% シリアス0%>日常100%>ギャグ+日常50% シリアス50%=ギャグ0%シリアス100%>ギャグ20% シリアス80%

※これには個人差があります。
※あくまで、筆者の考えですので参考程度に考えて頂ければと思います。

ギャグやキャラクターに自信がある方はそこをメインとした物語で勝負するのも良いと思います!
ギャグのネタは思い浮かばないし、キャラクターだけで行くのも難しい。
そう思うのであれば基本形であるシリアス+ギャグ(日常)の物語にするのが無難です。
ただし、ギャグなのかシリアスなのかわからない(主題、何が言いたいのかわからない、何がやりたいのかわからない)
というような事にはならないように注意が必要ですよ。

 

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他の会社さんや、個人のクリエイターがどうやってノベルゲームを作っているのかはわかりません。
ここに書かれているのは、あくまで私達「ウォーターフェニックス」的ノベルゲームのつくりかたです。

第169回 企画編102「「ギャグ」と「シリアス」と「日常」の比率を考える」
執筆者:企画担当 ケイ茶

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