企画編71「スマートフォン版とWindows版を同時にリリースする上での問題点」 第107回ウォーターフェニックス的「ノベルゲーム」のつくりかた
第107回 企画編71「スマートフォン版とWindows版を同時にリリースする上での問題点」
執筆者:企画担当 ケイ茶
他の会社さんや、個人のクリエイターがどうやってノベルゲームを作っているのかはわかりません。
ここに書かれているのは、あくまで私達「ウォーターフェニックス」的ノベルゲームのつくりかたです。
企画編一覧はコチラのページにまとめてあります。
ケイ茶です。
今回は、スマートフォン版とWindows版(PC版)を同時にリリース(両機種で出す)場合の問題点、注意点について書いてみようと思います。
容量の問題~スマートフォン版の制限、保存容量について~
まずはソフト本体のデータ量(容量)に関してなのですが、スマートフォン版はあまり大容量にすることは現実的ではありません!
Windows版でしたら、基本的にはネットワークに繋がっていれば高速通信&データの利用量に応じて料金が変わる事はありません。(定額)
そのため、大容量の場合それなりにダウンロードの時間は掛かりますが、大きな問題にはなりません。(~3,4GBくらいなら大丈夫でしょう)
さすがに10、20GBというような容量になるとダウンロードも大変だと思いますが・・・。
ただし!スマートフォンの場合はそうはいきません!
まずは通信環境の問題が大きいのです。
PC程速度が出るわけでもなく、出たとしてもデータの通信方式がWifiではない場合は毎月のデータの使用制限がかかる場合があります。
スマートフォンを利用の方でしたらわかると思うのですが、毎月8GBとか15GBと決まっていて、それ以上の通信をしたら速度制限がかかるという方式です。
そのため、スマートフォンのアプリで例えば4GBというようなものをリリースした場合、それだけでも大きな負担になりますし、そもそもWifiがないとダウンロード不可になります。
(iOS版は確実にそうなります。※50~100MB以内であればWifi環境でなくてもダウンロード可能。それ以上はWifiが必須)
Android機種においてはWifiではなくてもダウンロードは出来ますが、負担が大きいのは確かです。
また、そもそもアプリの最大容量として認められているのが4GBまでなのです。(2015年時点で)
それ以上の場合は、分割する、その都度ダウンロードさせる等、何らかの方法が必要ですが、4GBを超えるアプリをリリースという事自体が稀ではないかと思います。
ただし!ノベルゲームにおいて容量が問題になるのは一部のデータがメインになります!
テキストやスクリプト関連がいくら増えようと、せいぜいMB単位でしか増えませんし、気にする必要はありません!
画像データもそれなりになりますが、そこまで大きな問題ではありません。
一番大きいのが、私の経験上「ボイス」そして「ムービー」データです。
この2つは入れれば入れる程、高品質であればあるほど特にデータを圧迫します!
ムービーはノベルゲームの場合はせいぜいOP,EDくらいなので、まあ良いとしましょう。
問題は「フルボイスノベル」の場合です。
キャラクターも多く、全員にボイス付きのノベルの場合は容量がかなりのものになります。
はっきりと言ってしまえば、ヒロインが多く、フルボイスのノベルはアプリには合わないのです!
実際、アプリのノベルゲームでフルボイスのノベルゲームが少なかったり、あったとしても大容量のデータ通信が必要なのは上記の理由だと思います。
(そもそも、利益が出しにくい、フルボイスの必要がそもそもない。という場合もありますけれど・・・)
なので、容量面においては「ボイス」を入れる場合は注意が必要です!
ちなみに弊社の「一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう」においても、Windows版は~1GBほどですが、アプリ版は300MBまでムービーとボイスを圧縮しました。
他のノベル系以外のアプリと比べると300MBというのも大きい方かもしれません。
価格設定の問題
容量も問題ですが、有料で販売する場合の価格設定も難しいところです。
何が難しいかと言うと、スマートフォン向けのアプリの場合は有料の価格が高すぎると「そもそも売れにくい」「高いと言われてしまう」からです。
基本無料でアプリ内課金という方式が一般的なため、ノベルゲームのような落とし切り、一括で~円というモデルとは相性が悪いのです。
やろうと思えば、基本は無料でルート分岐ごとに課金という方式も可能ではあります。(実際にそのようなアプリも多いです)
ただ、短編ノベルの場合は、それもやりにくいのかな・・・という印象です。(検討はもちろん可能ですけれどね)
私の感覚で言わせてもらいますと、アプリの場合は高くても~1000円くらいが限度ではないかと思います。
ただし、PCゲームや家庭用ゲーム等から移植の有名タイトルであれば、また違ってきます。
その場合は、2,000円~5,000円というような価格設定でも問題ないでしょう。
※PC、家庭用ゲーム版をプレイしたユーザーがスマートフォンでもプレイする。という場合が多いかと思います。
もしくは、上記を持っていなかったけれど、有名タイトルのため名前を知っていた場合が考えられますかね。
そう考えると、もしもWindows版とスマートフォン版を同時にリリースするのであれば~1,000円までの価格設定になるのかな?と。
もしくは、アプリ版は500円くらいにして、Windows版は付加価値をつけて1,500円とか?
この辺りは、難しいのですがいかにユーザーさんが納得できる価格設定にするか、がポイントだと思います。
同じ内容なのにスマートフォン版とWindows版の価格設定が同じだったら反感を買ってしまうでしょうし。
もしやるとしたら、Windows版は一括で5,000円。
アプリ版は分割で1,000円×5本にわけて配信(データ容量の問題も考えて)もしくは、最初は無料でシナリオの開放が1,000円×5回あります。
という方式が良いのかな?という感じですね。
少なくともアプリ版の価格設定を最初から1,500円とか、3,000円とかにすると、それだけで売ると言う意味ではかなり厳しいという事を覚えておく必要はあるかと思います。
(ただし、一部例外もあるでしょうし、それが悪い、良いというわけではありません)
→次回からは、一旦「企画編」をお休みして、ボツシナリオを掲載していきます。