【ウォーターフェニックス作品キャラクター対談 第10回】『結婚主義国家』【健一郎】
本連載について
今までのウォーターフェニックスの作品のキャラクターにスポットをあてて
企画担当のケイ茶とシナリオ・イラスト担当のRの対談を文字にしたものです。
不定期連載で日曜日に掲載していきます。
★注意
・「結婚主義国家」本編についての重大なネタバレあり
・他のウォーターフェニックス作品のキャラについても、大きなネタバレではないものの(それぞれの作品の序盤でわかる程度の情報に)触れている部分があります
【ウォーターフェニックス作品キャラクター対談 第10回】
『結婚主義国家』【健一郎】

◆健一郎の性格のここが好き
【ケイ茶】健一郎は本人に色々と問題はあるんだけど、一途で愛がずっとあるのがいいよね。
【R】そうだね。
好きな部分として言えるのは「人間らしい」ところかな。
【ケイ茶】たしかに。人間らしさはあるのかな。
【R】桔梗のように格好良く死のうとしているんだけど、そこに確固たる信念はない。
あくまでも、彩芽に対する罪悪感とか周囲の期待からの期待感に押しつぶされそうになって、流されている結果なんだよね。
だからとにかく足掻いているんだよ。
そういう姿が等身大で好きなところ。
桔梗の場合は格好良いんだけど、普通の人から見ると強すぎる。
【ケイ茶】うん、それが桔梗の良いところではあるけどね。
【R】健一郎の方が、より人間らしくて自然な感じはするね。
桔梗は憧れで、健一郎は自分に近いから応援したくなる方。
【ケイ茶】色々悩んでいて、人間味のある主人公だね
【R】そうだね。そうやって足掻いているからこそ、茜も「本当は死にたくないんでしょ?」って感じて、助けたいって気持ちにもなるんだろうし。
【ケイ茶】覚悟が決まり切っていなくて悩んでしまうけれど、そこが良い、って事だね。
【R】そう。とにかく葛藤。
悪にもヒーローにもなりきれない中で、何とか自分なりに最善を尽くそうと悩んでいる。
たとえば、茜に嫌われようとして悪いフリをしようとする。
でも、結局完全には酷い事は出来ないし、彩芽の事も思い出してしまってまた罪悪感を抱えてしまう。
茜に呆れられた方がいいし、そのためには茜なんて放っておくのが一番なんだけど、茜が誰かに責められると「助けたい」と思ってしまったり。
普通の善良さを持っているからこそ、悩み続けてしまう。
ずっと揺れ動いている。
【ケイ茶】なるほどね。
たしかに、健一郎って熱烈に人気が出るようなタイプの主人公では無さそうなんだけど、共感はしやすいタイプなのかな?って思う。
【R】健一郎に関しては、健一郎自身の問題よりも状況が悪いよね。
彩芽が死んでからも1年と少ししか経っていない。それでいて周りからは死ぬことを期待されている。
【ケイ茶】可哀想な境遇だよね。
【R】社会が歪んでいるからね。
かといって、健一郎はその歪みに適応できるわけでもない。
【ケイ茶】あの年齢で考えれば頑張っているよね。
【R】そんな優しさや弱さも茜には見破られているから「いやいや、本当はこうなんでしょ?」って手玉にとられてしまったりとかね。
狐の仮面をつけたクロにも「そんなんじゃだめですよ!」って言われてしまうし。
そういう中途半端なところが人間味があって好きだなって。
格好良くないけど、いいよね。
【ケイ茶】うん。応援したくなる方だね。
なかなか時間かかるけど、長い目で見てあげて欲しいって感じがする。
【R】そうだね。
この話は、茜が主人公とも言えるね。
茜が健一郎に生きる気力を持たせるまでの物語。
◆健一郎の見た目のここが好き
【ケイ茶】個人的には見た目は好きとか嫌いって感じじゃなくて、等身大の少年?かなって感じ。
【R】そうだね。格好良すぎもせず、悪すぎもせず。普通さを出したかった。
【ケイ茶】特別目立つ部分はないよね。
【R】すごく強い意志を持っているわけじゃない。
でも、凄く弱弱しいという程でもなく……本当に、悩み続けているんだろうな。という部分を意識して描いたかな。
【ケイ茶】悩める少年、という意味ではしっかりと表現されているね。
【R】そうだね。闇を出したかったのがあるし、ある程度出たんじゃないかな?
明るさを感じない表情とか。
【ケイ茶】確かに明るくはない!
【R】明るくなりすぎていると、周りから「なんで笑ってるの?恋人が死んだのに」って言われてしまう。
そういう暗い顔であることを求められているから、自然と暗い表情ばかりになっているね。
【ケイ茶】同情しちゃうね。苦労人って感じが出ている気がする。
【R】本当に、健一郎は色々と理想を押し付けられているんだよね。
途中からは、狐面をかぶったクロというキャラも「桔梗になりなさい」と押し付けてくるわけで。
【ケイ茶】大変だ。
【R】たぶん、彩芽が生きていた時にはもっと明るい表情が出来ていたはずなんだよ。
【ケイ茶】確かにね。生きていたら普通に過ごせていたんだろうね。
【R】その時の表情は基本的に(ゲーム中で)表示されないから、描かれてはいないんだけど……。
本当はもっと明るく楽しく、普通の少年らしい表情ができたと思う。
◆シナリオで大変だったところ、上手く描けたところ

【ケイ茶】茜の時も聞いたけど、かなり苦労したシナリオだったよね。
【R】そうだね。最終的には気に入っているんだけどかなり苦労している。
基本的に主人公には一途でいて欲しい。
でも、短編連作として考えた時に「結婚予定の相手が既に死んでしまったパターン」を描いておきたかったんだよね。
だから、最初から彩芽は死んでしまうキャラとして存在する事になった。
【ケイ茶】確かにそうなるよね。
【R】でも、すぐに心変わりしてしまう主人公も嫌で、茜にも幸せになってもらいたかった!
そのためのシナリオではあったから。
【ケイ茶】やりたい事を詰め込みたいシナリオだったんだね。
【R】そうだね。
かなり悩んだ。
どうすれば茜が幸せになるのか? どうすれば健一郎も誠実でいられるのか?と
【ケイ茶】問題が沢山あったからこそ、試行錯誤して何度も調整したわけだね。
【R】唯一、最初から上手くいったのは彩芽かな。彩芽は描きやすかった。
【ケイ茶】登場は過去編だけだけどね
【R】彩芽の過去編は普通に幸せな話を描ければよかったから、そこは楽しく描けたかな。
【ケイ茶】うん。あそこは良かったよね!アクセントにもなっているし。
【R】本筋の、茜と健一郎の心情はややこしくて複雑だからね……。
健一郎の強い罪悪感を描くのは凄く難しかった。
【ケイ茶】苦労が多いシナリオだ。
【R】そもそも「他のキャラもどこまで出そうか?」という悩みもあって。
最初は彩芽、茜、健一郎の三人だけだったけど、話の流れで他のキャラ(椿や雛菊)も結果として出てくるようになった。
【ケイ茶】3集のシナリオはここまでの集大成的な感じがするよね。
【R】そうだね。繋がりが多いからこそややこしくて。
そもそも最初の構想時点では茜の扱いも難しかった。
雛菊の話(年齢制限)で茜は結婚しているから……。
【ケイ茶】たしかに。既婚者なのは決まっていたね。
【R】不倫関係にするわけにもいかないからね。
この時点では最後の話(愛情試験)までは決まっていなかったから、信治と雛菊の最終的な扱いも含めて難しかった。
【ケイ茶】真ん中の話だから制約が多くて大変なところだよね。
【R】信治と茜の関係はどうしようか?と考えた時に、信治が「僕を死んだ事にしてほしい」ってキャラが勝手に動いた。
【ケイ茶】なるほど。それで死ぬ事に。
【R】そう。じゃあ、とりあえず失踪してもらおう。と。
【R】ちなみに、その結果の雛菊と健一郎との会話で、健一郎が雛菊に「お前は、この先誰かと結婚するつもりなのか?」って問いかけて、雛菊が「さあ、どうかしら。今はまだわからない」って流れがあるわけだけど。
このセリフの時は、シナリオライターとしても、「どうするんだろう?」って思いながら書いていた。
【ケイ茶】ライターがキャラクターに尋問されている!!(笑)
【R】雛菊は強気で、「後悔しない道を選ぶわ」って言うから……。
「まあ、雛菊と信治が頑張ってくれるんだろう」と信じて書いた部分だね。
【ケイ茶】とりあえずキャラクターの思うがままに書いたわけだね。
【R】そう。後でなんとか自分が頑張るだろう!って書いている所があるよね。
ここの段階で信治が死ぬ事が決まったから、結婚相手が死んだ場合の離婚の扱いとかもここで説明する事になったね。
【ケイ茶】そう考えると、その辺の制度の話もあるし、かなり重要な位置にあったシナリオだったわけだね。
【R】そうだね。
健一郎がこの話の最初の方で離婚制度について知っているのも伏線で。
最終的に、「ストーカーの狙いは無理心中じゃなくて、健一郎を殺して離婚させる事だった」とわかるところは自分では気に入っているかな。
全体的に、作りながらパズルみたいに組み合わせていたから、かなり書き換えた話だったかな。
【ケイ茶】ここのパズルは結構難易度高そうだよね。
【R】そうだね。たとえば、この時点では狐面をつけたクロの事もハッキリ決まっていなかったり。
【ケイ茶】そうなの!?
【R】よくわからないけれど、桔梗に肩入れする信者みたいなキャラが出てくる。という事だけ考えて出したね。
【ケイ茶】とりあえず先に出てきたわけね。
【R】最終的に、「あ。これ桜だとピッタリはまりそうだ」と。
【ケイ茶】って事は、このシナリオも最後まで完成してから修正入っている感じだよね?
【R】そうだね。
この辺りは最後(愛情試験)のプロットが決まってから喋り方とか細かいところを調整しているかな。
確か、最初は狐面も付けていなかったはず。
ただのフードをかぶった人物だった。
でも、しっかり顔も隠した方が良いだろうと考えて狐面があらわれた。
【ケイ茶】色々と流れを作って修正したわけだね。
【R】そうだね。この辺りの話を作っていたら、いつの間にか狐面をつけたクロというキャラが出てきて、茜が勝手に狐面をガーベラに渡していた。
どこから変えていったか覚えていないくらい、色々と組み替えて「こうすれば辻褄が合うな」みたいな。
【ケイ茶】3集は本当に色々なキャラの絡みがあるのがいいよね。前後の話を考えられる。
【R】そうだね。2章までの話を一旦納めて、また4章で仕切り直しって感じかな。
【ケイ茶】今までの前半の流れと、最終シナリオの接着剤的な感じするよね。上手くくっつけるための架け橋的な。
4章は意外と独立しているし。
◆現実にいたとしたら?
【ケイ茶】なかなか健一郎は絡みにくいね。
【R】助けてあげたいとは思うんだけど……。
【ケイ茶】下手な事言えないよね。
【R】難しいよね。
中途半端な覚悟では関わってはいけないというか。
茜くらいにしっかりと覚悟を決めてその後の将来も責任を負う覚悟は欲しい。
【ケイ茶】大部分の人が関われないやつだ!
【R】まあ、中途半端に関わっても逆に健一郎を苦しめてしまうだろうし……。
【ケイ茶】孤立してしまいそうだね。
【R】難しいよね……。
【ケイ茶】そんな感じがする……。
◆キャラのこだわり(企画やシナリオなどにおいて)

【ケイ茶】キャラのこだわりは、今まで話してきた感じだと「人間らしさ」?
【R】あとは一途ってところだね。
彩芽に対しての裏切りをしないように、とにかく気をつけた。
彩芽を大切にしたい気持ちを描きたいから、彩芽との過去編は必須だった。
でもそれ以上に、プレイヤーには茜の事を好きになって欲しかったから、バランスも気を付けた。
【ケイ茶】難しいところだね。
【R】個人的には、彩芽はかなり好きなキャラクターなんだよね。
描きやすいし楽しいキャラクター。
【ケイ茶】わかる! 死んじゃっているけど!
【R】亡くなっているからこそ、より会話が描きやすい部分があったり。
でも、そんな彩芽は「お姉ちゃんだって魅力的だよ!」って言ってくるだろうから、やっぱり茜をしっかり描かないと、と。
【ケイ茶】いい関係性だね。
【R】健一郎は過去に捕らわれていて、未来を観ようとするたびに過去を思い出して揺れ動いてしまう。
だから、健一郎は彩芽の死から動けずに呪われているようなもの。
それが厄介。なんだけど、それが健一郎の良さでもある。
【ケイ茶】その良さを残したうえで、それでも未来にも目を向けてみようね!っのがこの話だよね。
【R】うん、そうだね。
だから、急に大きな心変わりをせずに、葛藤を繰り返す中で少しずつ心がほぐれていくのを描けるように気を付けたかな。
アイキャッチのイラストでも、途中から誰も表示されなくなったり、後の方で茜が表示されたりとか、少しずつ「死んだ彩芽という呪い」を茜が変えていくっていうのを描きたかった。
【ケイ茶】演出上のこだわりだね!
【R】最終的に結婚するにしても、あくまでも「茜が好きになったから」という言葉は使っていないはず。
健一郎は「死にたくないから結婚する」というのが大事な部分だと思っている。
これを「茜が好きになったから」とか、茜への愛にすると、結局別の美談で流されてしまったという事になってしまう。
美談ではなくて、あくまでも等身大の泥臭い「ただ死にたくない」って思いで生きていってほしかった。
もちろん、茜を大切にすると決めたうえでね。
【ケイ茶】後日談では仲良くはしているよね?
【R】そうだね。2人の仲はいいよ。
ただ、どれくらいの時間を経て恋愛関係に至るのか?とかは結構難しいと思う。
恋人関係っていうよりは、恋を脇に置いて、そのまま愛にいっているところはあるかなと。
【ケイ茶】丁度良い関係性?
【R】そうだね。
死にたくないから結婚したんだけど、だからといって、茜をただ利用するだけじゃない。
そこにちゃんと責任は持って、楽しく一緒に生きていけるようにする。
相手の事を大切にする。
そういうところは大事だと思うし、それが伝わるように描きたいと思ってこだわったかな。
【ケイ茶】なるほどね。
◆他のキャラともっと絡ませてみたかった・他作品のキャラと会ったとしたら?
【ケイ茶】誰かが慰めてあげて欲しいような……。
【R】いや、慰めるのは茜がやってくれたから大丈夫だよ。
それよりも、健一郎は他人を慰める事が出来ると思う。
【ケイ茶】というと?
【R】健一郎が関わるとしたら、他のヒロイン達よりも主人公の方がいいかな。
ウォーターフェニックスの主人公は色々と悲しみを抱えていたり、引きこもり気質な人が多いから。
同じ気持ちのはず。
【ケイ茶】なるほど。
【R】大切な人を死なせてしまった、苦しめてしまった。という罪悪感を抱えている人が多いよ。
【ケイ茶】かわいそうな人たち同盟になっちゃいそう。
【R】まぁ……。
豹馬とか氷河とか。妹の事を気にしている時のルストとか。
アレグロもそうかな?
悲しみを抱えた人達と同じ立場で「あの笑顔が忘れられないよな」みたいに、同じ立場だからこそ言える話をして癒せる可能性はある。
【ケイ茶】うーん。飲み会みたいな。
【R】そうだね。しんみりと。
健一郎にしかできない慰め方はありそう
たとえば、誠也みたいなキャラは悪気が無くても無神経で傷つけてしまうだろうし……。
【ケイ茶】そうだね。近付かない方が良いね。
【R】健一郎なら寄り添える。
【ケイ茶】たしかに。
【R】大人になった皆で静かにお酒を飲み交わしながら「あの時、あの子は●●って言ってて……」みたいに、涙を流しながら語り合う、みたいな。
そんな付き合いになりそう。
【ケイ茶】なんか想像できた。良いのか悪いのかわからないけど、しめっぽい空気感はありそう。
【R】あとは、アーキタイプ・アーカディアでは彩芽の記憶はちょっと強いかもしれない
【ケイ茶】ああー!!
確かにそこそこ強いかも?
【R】想いが強いから戦えそうだけど……すぐにモンスター化もしちゃうかもしれない。
【ケイ茶】それはあり得る。
戦えそうだけど、気を付けないとモンスター化して自滅してしまう気がするなぁ。
【R】まぁ、それも彩芽の事を引きずりすぎている場合だね。
茜がいればそのあたりは気にしてくれるだろうから、大丈夫だと思う。
【ケイ茶】やっぱり、基本は2人でうまく支え合っていってほしいね!
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